中堅商社マンの海外出張報告(へなちょこ編)

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<<   作成日時 : 2006/01/23 02:22   >>

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これも俺の話だ。
というか、俺とブタの話だ。
俺は90年代後半、中国へのドサまわり出張を毎月させられていた。
その時の、俺とブタの、出会いと別れの話だ。
98年ごろ、俺は中国の南部にあるスワトウという街に出張した。
漢字で書くと汕頭となる、北京語で読むと「シャントウ」だ。
刺繍で有名な所だ。
90年代は中国の国内線の飛行機は信用できなかった。(今もだが)
なぜなら、落ちるからだ。
落ちなくても、故障や時間遅れでトラブルが発生するので、絶対予定通りにならなくなるからだ。
トラブルが起きると、余計なエネルギーを通常の3倍使うことになるからだ。
だから俺は福州にいくにも、スワトウに行くにも、必ず香港から往復した。鉄則だ。
飛行機はもちろんドラゴンエアーだ。まだ香港の飛行機の方が信用できるからだ。

出張の日、そのドラゴンエアーでスワトウの空港についた。
朝発・昼着の飛行機だ。
そのままホテルにチェックインした。金角湾だか金海湾だかいうホテルだ。
そのころのスワトウには、まともなホテルはそこしかなかった。
その日は移動だけにしていたので、昼からはヒマだ。
ヒマなので、ホテルを探検した後、部屋でテレビを見て時間を潰した。
もちろん外には出ない、出ても中国の田舎街はどこでも同じだからだ。
同じような極彩色看板と汚い路上があるだけだ。
その金海湾だかで、テレビを見ていたが、もちろん中国語のテレビしかやってない。
この辺の田舎まで来ると、日本語衛星放送は無い。
全部北京語か広東語だ。
つまらないので、チャンネルを回すと、日本のアニメを放送している。
セイントセイヤだった。
俺は驚いてチャンネルを止めた、中国で日本のアニメを放送しているのを始めて見たからだ。
「日本のアニメ文化もすげぇーな、中国まで届いたか。」
と思いながら凝視していて気がついた。
セリフが広東語だ。
セイントセイヤが広東語をしゃべっている。
変だ。
戦闘しながら、「アイヤー」とか気合入れてる。
なんか間抜けだ。
北京語でも変なのに、広東語はご存知の通り8声だ。
だから、怒った時も抑揚が超高くなる。
北京語より高いから、一番高い声調は声が頭から抜ける。
だから、セイントセイヤが敵を攻撃すると、「ハヒフヘ、ホー!」みたいになる。
セイントセイヤが中国で和田アキコのマネをするとは、さすがの俺も思わなかった。

さて、日本のアニメに少々感激した俺は、他のテレビが面白くないので、仕事を始めた。
午後3時くらいだ。
机に向かって仕事をしていると、隣の部屋がゴソゴソしている。
「うるせーな」と思いながら、我慢していると。。。。
女性の声が、エッチな声になっている。
「あー。」とか、「あいやー。」とか言っている。
壁が薄いから隣の声が丸聞こえだ。というか筒抜けだ。
「勘弁してくれよ。」と、俺は思ったが、同時に俺は別のことを思った。
これって、初めて聞く中国人同志のエッチだな、と。
聞きたくなくても、聞こえて来るので、そのまま聞くことにした。
聞きたくなくても聞いていてわかった。
どうも台湾人と中国のオネエチャンのエッチみたいだ。
男は台湾訛りの北京語だ。女は大陸南部の北京語だ。
それで、俺は学習した。中国語でエッチする時はなんていうのか、と。
そして更に勉強した。中国語でエッチする時はなんていわれるのか、と。
中堅商社マンは勉強熱心だ。特に現場では。。。。
とかなんとか、くだらないことを体験しながら、夜はお決まりの偽者日本飯を喫し、酒飲んで寝た。
中堅商社マンは勉強したことも、実地では使えない。小心者だからだ。

翌日、朝飯を食って、客先訪問に出かけた。
まずはタクシーの選定だ。
客先の所在地はスワトウから香港方面に5時間くらいかかるところに在る。
流砂大道とかいうところだ。滅茶苦茶、田舎だ。
だから、タクシーの選定が重要だ。
そのころの中国のタクシーは、床に穴の開いたタクシーとか、車内にゴキブリを飼っているタクシーとかは普通だった。
穴の開いたタクシーなんかは、当然床から地面が見える。
走行中は、床から地面が過ぎ去っていくのが見える。
だから、時たま、超高速で、その穴を、動物の死骸とかが過ぎ去ったりする。
嫌だ。
しかし、その穴も時には便利だ。なぜなら、灰皿が要らないからだ。
灰と吸殻とゴミは、そこから捨てればいいからだ。
中国人も喫煙家には優しい。
ただし、そういった穴あきタクシーとか、ゴキブリタクシーで5時間もかかるところに行くのは危険だ。
なぜなら整備してないから、途中で壊れる。
壊れたら悲惨だ。ホテルに戻れないからだ。
ホテルに戻れないということは、野宿か民家か超汚い旅館で一泊することになる。
スーツ着て野塾は悲惨だ。というか、地獄だ。
それほど街から出ると、郊外には何も無いからだ。
よって、俺はそのホテルで一番上等なタクシーを頼んだ。
ホテルのタクシーなら街中の流しのタクシーより整備もマナーもいいからだ。
ただし、マナーは、中国の他の流しのタクシーよりちょっといいというだけだ。
そのタクシーの運ちゃんは、40代後半の親父だ。
紹介され、行き場所を告げて、いつもどおりの型どおりのオベッカだ。
「日本人なのに、北京語できるのか」とか、「北京語上手ね」とかだ。
北京語上手ね、とかいうのは、北京語が大してうまくないということだ。
日本人が片言の日本語話なす白人に、「日本語うまいね」というのと一緒だ。
なぜなら、日本人がデーブスペクターには「日本語うまいねー」とは言わないからだ。
お決まりの挨拶も済んで、俺とタクシーの運ちゃんはスワトウの街中を抜けて、目的地に向おうと走り出した。
走り出して10分くらいした、その時だ。
ぼーっと景色を見ていた俺は周りで「ウィーン、ウィーン」と異常に甲高く響く音に、気がついた。
何だと思って前方を見ると。
前方のトラックの荷台に多量のブタが乗っている。
その無数のブタが、ウィーン、ウィーンと異常な声調で泣いている。
トラックの荷台の脇には、2人の中国人が立ちながら、笑らいながら、ブタの頭を蹴っている。
タクシーの運ちゃんがそれを見ながら笑っている。
俺は何だと運ちゃんに聞いた。
運ちゃんは答えた。「ブタが堵殺に連れて行かれるところだ。」、と。
ブタ達はそれをすでに分かっているのか、異常な声で鳴きながら、トラックから逃げようとしている。
トラックの荷台の後ろには、逃亡防止用の紐が幾重にか掛けてある。
それを逃げないように、中国人の兄ちゃんが一々ブタの頭を蹴って、中に戻そうとしている。
慣れた様子だが、タクシーの中にいる外国人(日本人らしき)を認めた兄ちゃんは、面白そうに、さも自慢げに、俺を見ながらブタの頭を蹴っている。
運ちゃんも笑いながら、俺に説明を続ける。
そして、そのブタ達は、鳴きながら、青い目で俺を見つめて、助けを求めている。
俺は小心者の中堅商社マンだ。だから、非常にショックを受けた。
その助けを求めて俺を見つめて、助けを訴えるブタの瞳に、だ。
日本にいて、そういったことに遭遇しない(あからさまにそういう状況のブタを公開にさらさない)日本人には殺されるブタの悲惨さと有難さは分からないものだ。
そういう死を犠牲にして、豚肉を食わざる得ないのは人間の業だ。
だから、それを日常で目撃し、笑い飛ばし、豚肉を食べることのできる中国人は、偉大だ。
その青く、生命の救いを求めるブタの目を、中国人は一切見ない。

そういった大ショックを受けた俺を乗せながら、タクシーは何事もないようにスワトウ郊外を抜けた。

タクシーがスワトウ市内を抜けて南西に小一時間行くころには、俺はウトウトし始め、そして寝入った。
しばらくして、タクシーが停まった感じがして目を覚ますと、運ちゃんがタクシーから降りて、前方に何かを叫んでいる。
何かと思ってよくよく見ると、前方が渋滞しており、その先には川がある。
川といっても、日本の川のように小さなものではなく、利根川くらいか、それ以上の川幅がある。
前方をよく見ても、橋などは無い。
なんだなんだ、どうやって渡るんだ?
中国のタクシーは水中でもお構いないに進むのか?それは勘弁してくれよな。
と、思って、スーツを着た俺は車から出て見てみると、渋滞で並んだ車の先にはフェリーというか渡し船というかが、停泊している。
その乗船待ちで、車が並んで渋滞している。
その渡し船フェリーだが、日本のフェリーとか東京湾フェリーとかを想像してもらっては、困る。
単なる平たいエンジン付きのイカダみたいな船で、表面に鉄板を張っただけの船だ。
そのイカダの横に操舵室がおまけのように付いてるだけの船だ。
船というか、四角いイカダだ。
だから、甲板に柵とか塀は、無い。
柵の代わりに、棒を数本1−2M置きに立て、それを貧弱なチェーンで囲っている。
俺は思った、まじでこれで渡るのか?
それって他の船の横波とか来たら一発で転覆じゃねーのか?、と。
運ちゃんは、俺にタクシーに戻れと言っている。
不安な俺は一応言うことを聞いてタクシーに戻った。
ここで、嫌だ乗らないとは言えない。帰るとも言えない。客ともアポ取ってある。
中堅商社マンは危険を顧みず客のアポを優先する。 悲しい仕事だ。
俺を乗せたタクシーはそのままフェリーというかイカダに乗り込んで、最前列の角に駐車した。
前列には車が5台くらい駐車でき、縦にも5台くらい駐車できる。
その他は自転車軍団だ。20台くらいあったか。
運ちゃんが降りてもいいというので、俺はタクシーから降りて、後方に回り、そのイカダの淵に立って貧弱なチェーンにつかまりながら、タバコを一服した。
すぐ下を覗くと、濁った川の水だ。
この川が銭頭江みたいに逆流したら、一発でアウトだな、さすがの俺もこんなところで溺死かよ、
やってられねーな、と思いながら鬱になっていると、運ちゃんの大声が聞こえる。
俺の乗ったタクシーの運ちゃんの声と、その他の中国人数人の声だ。
なんだ、なんだ、と思ってタクシーの方を見ると、その数人の中国人がタクシーを取り囲んで大騒ぎしている。
うわぁ、タクシー強盗か?日本人への報復に日本人が乗ったタクシーを破壊すんのか?
そう思って、
やばい、タクシーだけは確保しなければと思い直し、
危険を顧みずにタクシーに近づいて、事情を確認しようとして、
数人の肩越しに覗き込むと。。。。。。。
イカダの端から、俺の乗るタクシーのその前輪が、
 − 落ちかかっていた。 −
とっさに事情を飲み込んだ俺は、その数人の中国人とともにタクシーを引き戻す手助けに参加した。
もちろん、スーツは着たままだ。
スーツ着て、ネクタイした日本人が、数人の中国人とイカダの上でタクシーを引っ張る構図は、
もちろん変だ。
俺はホテルに帰れない不安があるので必死だ。
数人の中国人も必死で車を引っ張ってくれてるが、その周りを取り囲む野次馬は、笑っている。
爆笑に近い。
必死な日本人に爆笑している。
まったく、やってられない。中堅商社マンは中国人野次馬にも勝てない。
って、いうか。サイドブレーキくらいしろよ、運ちゃんよ。
もし俺がタバコ休憩に車降りてなきゃ、俺は汚いタクシーごと中国の名も知らぬ川に水没するところじゃねーか。
そんな最後じゃ、泣くに泣けねーじゃねえか。
最後に一緒に心中した水没タクシーの横には「金海湾飯店」とか書いてあるぞ。
それって、死んでもめちゃくちゃ恥ずかしいじゃねーか。
スーツ着て、ネクタイして、日本のパスポート持ったドザエモンが、中国の名も知らぬ川に生息する蟹の餌になったりしたら、その蟹食った中国人に祟ってやるぞ。思いっきり。
蟹のエラとか、ボラの腹とかから、俺の顔写真出すぞ!
もしくは、蟹味噌に俺の腋毛とか混ぜるぞ!
と、思いながら、そんなことは言えない気弱な中堅商社マンは、タクシーの運ちゃんに笑って抗議するだけだ。
なぜなら、この時点で喧嘩になった場合は、ホテルに帰れないからだ。
バスとか拾ってスワトウ市内に帰るには、2日以上かかるし、余計なエネルギーと金を使うからだ。
イカダフェリーが対岸に着くまで、危険を感じた俺は、運ちゃんのタクシー内で休憩しろという言葉を無視してタクシー内に戻らず、対岸着岸まで外で過ごした。
さて、一応無事に対岸まで着いたのを確認してタクシーに乗り込んだ俺に、運ちゃんは中国語で言い訳を始めた。
問題があったので、後で料金を値切られるのを懸念しての発言だ。
いつもは失敗しないとか、イカダフェリーは本当は安全だとか、自分の運転はスワトウで5本の指に入るとか、だ。
そんなやつがサイドブレーキ忘れるか、っていうか、フェリーの端ギリギリに駐車するか普通。
面倒くさいので、いい加減に聞いていた俺だが、そのままタクシーで川に水没するところだったことは抗議した。
すると、運ちゃんの言い訳はこうだった。
「大丈夫だ、俺の爺さんは日本軍に水死させられた。それにくらべりゃ問題ない。」
問題ないじゃねー!!!
俺がお前の爺さんを水死させたわけじゃねー!!!
なんで俺がその日本軍兵士の代わりに、こんな汚いタクシーで水没させられなきゃなんねーんだ。
と、思いながらも大戦のことを出されると、文句をつけられないのは海外でコントを繰り広げている中堅商社マンの弱点だ。
まったく、そう来たら、もう何にも言えねーじゃねーか。

さて、それから数時間して目的地の流砂大道とかについて、相変わらず鼻毛丸出しの、工場の総経理(中国で社長のことだ)親父に、売れもしない釣具部品の説明とデモをして、茶渋の付いたカップで出てくる非衛生的なお茶を我慢して飲み下し、そうやって2時間近く過ごして、その日の仕事を終えた俺は、待たせたタクシーに乗ってスウトウへと引き返した。

帰りもタクシーの中で寝ていた俺だが、急に便意を催した。
もちろん小の方だ。
中国で外出中に大の便意を催したら最悪だ。どんなに最悪かは、今後に回すが。。。
さて、小の便意を催した俺は、タクシーの運ちゃんに告げて、どこかで停まるように指示した。
運ちゃんは気を利かせて、道路の脇にあった地場の民家みたいな家屋の脇に止めた。
そこで便所を借りる依頼をしてくれると言う。
便所が異常に汚いことを知っている俺は、立ちションの方が良かった。
なのに、運ちゃんはチップを狙って、非常にサービスが過剰だ。
というか、余計なサービスだ。
中国では、客人にサービスしないのは完璧に無礼な印だ、だからいつでもサービスが過剰になる。
サービスする中国人は全く悪気はなく、中国人として当然の礼儀なのだが、日本人にはその過剰なサービスが逆に迷惑になる場合が多々ある。
そんな基本的ところから違うのに、日中相互理解なんて、できるわけがない。
この場合もそうだ。
俺は中国の便所が異常に汚いのを知っているので、逆に立ちションがしたい。
でも運ちゃんは、便所が汚いことは当たり前で当然と思っているので、そこは日本人の感覚は分からない。
逆に、運ちゃんは中国人の感覚で、客に立ちションさせるのは非常に無礼だと感じており、そのことで不満を持たれるとチップがもらえないと踏んでいる。
だから、運ちゃんは必死こいてその民家みたいなところに便所を借りる交渉をしている。
そういった違いが日常中国のいろいろな場所で、日中間に発生している。
さて、その民家のおばちゃんがOKしたのか、便所を使ってもいいと運ちゃんが言いにきた。
俺は仕方なくタクシーから降りたが、それを見た民家のおばちゃんがびっくりしている。
便所貸す相手を確認しに来たら、スーツにネクタイした日本人だったからだ。
そんな奴、この辺ではほとんど見ない。って感じだ。
そこは中堅商社マンの俺だ。便所貸しくれるというので下手に出てのお礼攻撃だ。
「謝謝」だけでも10回くらい言ってる。ささやかな日中友好だ。
でもホントは、汚い便所に行くのが嫌だと思っている。まったく。
で、便所は?と思って場所を聞くと、民家の中ではなく、その隣の小屋みたいなところでしろと言っている。
俺は思った、民家の中に便所はなく、この家の全員がそこの便所でしているんだ、と。
中国の便所はそんなシステムだ。
その小屋というか開け放しの倉庫みたいなところに運ちゃんに連れられ進むと、中はなぜか暗い。
ちょっと危険な感じだ。
その倉庫の天井が一部壊れていて、その壊れた天井から光の束が漏れており、それが一部を照らしている。
3から5Mくらい先だ。
運ちゃんはそれが便所だと言っている。
なんだ、なんだとほんとに便所か?と思って用心しながら少し近づいて見てみると、
光の束の中に、壊れた水道管みたいなものがあり、その下には、桶が置いてある。
運ちゃんはそれに小便しろと言っている。できるな?とか聞いている。
まるで子供の小便の手助けだ。
俺は中国には慣れていたので、こういう便所でした用を足したことは経験上多数ある。
よって即座に理解し、運ちゃんに大丈夫だと告げた。
運ちゃんは、じゃータクシーで待っている、と俺に告げ背を見せた。
さて、俺だが、暗い倉庫みたいな小屋の中を、光の束にライトアップされた桶向かって、おそるおそる近づいた。
その桶に続く通路の両脇には柵が設けてある。
その柵の中を気にせずに、その桶に近づこうとして数歩を歩いたその瞬間。。。。。。
「ぞぞぞぞぞぞ。。。」という音とともに、両方の柵の内側で、何かが急激に動いた。
ビビッた俺は、その通路の桶1M手前で凍りついた。
そして、恐怖感丸出しで、おそるおそる一方を振り返って見てみると、そこには。。。。。。
驚いて、恐怖を宿した眼で俺を見つめる、
− 数匹の、ブタが居た。 −
恐怖間バリバリの俺の目と、恐怖感バリバリのブタの目が、
− 合った。 −
ブタと俺はお互い凍りつきながら、立ち止まったまま、恐怖を宿した瞳で見つめあった。
あの青い目だ。
やっと、事態を認識した俺は、ここがブタ小屋だということに、気が付いた。
そして、便所はブタ小屋に設置されていることにも、気が付いた。
事態を認識すれば中堅商社マンは無敵だ。
ブタ小屋で小便するなどなんでも無い。中国では普通だろう。
そう思い、状況を確認した。
ブタは両脇に各々3頭くらいだ。
が、ブタはこっちを凝視したまま、まだ凍り付いている。
それはブタも驚くはずだ。
なんたって見慣れないスーツ着た日本人がいきなりスワトウ郊外のブタ小屋に現れたからだ。
殺されるか、屠殺場に連れて行く人間か、と思って警戒しているのが、目を見て分かる。
事態を認識して強気になった俺は、ブタを無視して桶に近づいて用を足し始めた。
ブタたちは、まだ俺を凝視している。
俺は用を足しながら、ブタを見ると、一匹は俺の目を凝視している。あの青い目だ。
その凝視に耐えられず、別の方のブタを見てみると、そのブタが青い目で凝視しているその先は。。。。
 − 俺のポコチンだった。 −
っていうか、ポコチンからおしっこ出てるところだ。
俺は用を足しながら思った、いくら怖くても、そんなとこ凝視してどうすんだ?と。
恐怖感バリバリの目で、ポコチンからおしっこでてるとこ見られても、何ともしようがないって。
また、こう思って心の中で、ポコチンを凝視するそのブタに告げた。
いくら、これが男の武器でも、こんな武器じゃお前たちを屠殺できないから、心配しないでくれよ、と。
できるのは、せいぜい、「ブタにチョンマゲ」くらいだ。 (なんだ、そりゃ)

さて、タクシーはイカダフェリーを無事渡り、スワトウ市内に近づいた。
時間は夕方6時近くだ。
市内に近づくと、仕事の退勤者が増えていて、道路に無数の自転車と歩行者がいる。
歩道なんかないので、道路の脇を歩行者と自転車が併走する。
その中をタクシーの運ちゃんは、歩行者など気にもせずスピードを上げている。
突然、小汚いカッコをしたオバちゃんが道路に飛び出してきて、タクシーに轢かれそうになり、
間一髪で避けた。
オバちゃんがいきなり雑技団の一員になったかと思えるような、曲芸的な避け方だ。
俺は運ちゃんに言った。あやうくひき殺すところじゃないか、と。
運ちゃんは答えた「中国は人がいっぱいいるから、何人か死んでもいいんだよ。」
それって、めちゃくちゃじゃねーか?同じ中国人だろ。
そんなことを俺が言うと、運ちゃんは答える。
「いいんだよ。特にさっきのオバちゃんは外地人だから、轢かれて死んでも関係ないんだって。」と。
因みに、外地人とは、スワトウ以外の地域から出稼ぎに来た他の地域の中国人のことを指す。
俺は思った、それじゃ人でもブタでも中国人にとっちゃ、みな同じじゃねーか、知り合い以外は、と。
まったく、中堅商社マンは、中国人の強かさにも、勝てそうにない。
勝てるのは鼻毛の短さくらいかもしれない。。。。。。

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コメント(10件)

内 容 ニックネーム/日時
遅ればでながた、明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。年末年始は帰国されてたんですか?
豚さんの続き気になります(+_+)何が起こるんでしょう。豚がトラックから落ちるとか・・・・?続きupされるの待ってます〜☆
ちなみに、最近ちょっと気になったんんですが、もし差し障りなければお年聞いていいですか???
商社OL
2006/01/26 17:12
中堅さま
A HAPPY 春節祭! 
マレーシアにも旧正月ってありますよね?!どこか行かれたりするんですか?
たまには、”中堅商社マン休暇報告”もお願いします。
中堅さまのことだから、面白エピソードがありそうな気がします(^^ゞ
今年も面白い報告、UPお願いします。
商社OLの仲間
2006/01/27 11:30
商社OLさん、お仲間さん。遅くなりましたが、明けましておめでとうございます。恭幸発財!新年快楽!!!
今年もよろしくコメントお願い申し上げます。
年末年始はマレーシアで年越でした。休みが1日だけなので、普通の土日と変わらずです。
住んでる場所からクアラルンプール市内が一望できますが、年越と同時に各地で花火が上がって、きれいでした。
正月らしいのはそれだけ、あとは普通の日曜日みたいな感じでした。
で、旧正月はというと、インドネシアのジャカルタ滞在中で、仕事っす。
インドネシア旧正月なしのため、まったく雰囲気なし。
挙句にパソコンが壊れて、現在借り物で対応中。散々な状態です。
中国人の悪口ばっかり書いてる報いかと、反省中です。
年齢確認は、ちと恥ずかしいっすね。30台後半・40手前くらいの返答で勘弁してくださいっす。
中堅商社マン
2006/01/27 23:50
−コメントのつづき−

休暇報告はあまり面白いエピソードないっすよ。
バリでタクシー乗ったら、草むらから牛が飛び出てきて、タクシーに激突したとか、ゴルフしてたら池から突然人間が出てきてびっくりしたらボール拾いオヤジだったとか、打ったボールがサルを直撃して気絶させたとか、汚い飯屋で飯食ってたら、コモドオオトカゲが乱入してきて大騒ぎだったとか、日常よくある光景ばかりです。
出張で外出ばかりで、休みもほとんどないので、休みは主に寝てます。
あとはマッサージくらい。(断じて変なマッサージではないですが。。。、と強調するところが疑われる原因だな。)
コンピューター直ったら、ブタの続きを書きますので。。。。

中堅商社マン
2006/01/27 23:51
う〜ん、まだインドネシアから脱出できない。
こりゃ、今週中の脱出は無理っす。
PCも電話も全部だめだぁー、PC繋ぐ回線はPULSの電話回線だし。
文明国へもどりたいよ〜ん。はやく。
インドネシアの変な焼き鳥(サテー)はもう飽きたっす。
中堅商社マン
2006/01/31 01:56
こんにちは、デザート番長です。
サテー(笑)甘めですね。
インドネシア食料事情といえば、、
『RotiBoy』などはいかがでしょう?
デザート番長
2006/01/31 12:49
デザート番長さん、こんばんは。コメントありがとうございます。
しかし、デザート番長とはすごいネーミングだなぁ〜、砂漠高校とかで番とか張ってますって感じすね。
ゴビ砂漠では番格で、モハベあたりでは影番やらせてもらってます、って感じすか?
サテは確かに甘くて、うまくないっす。一緒に酒飲めないし。
そのROTIBOYとかいうのは知らないので、滞在中に時間があれば試してみます。
ところで、インドネシアの納豆って名前ご存知ですか?試してみたいけど、名前がわからないもので。
チーズケーキファクトリーの方もコメントいただいたみたいで、ありがとうございます。
私は連れてかされただけなので、あまり覚えてませんが、やたら甘かった記憶しかないです。
中堅商社マン
2006/01/31 22:24
私は実は中国で営業やってます。中堅商社マンさんがいつもスーツにネクタイ姿だということが印象深かったです。私の客は純粋中国企業なんですが、ネクタイをしなくなって久しいからです。中国人にはネクタイは今でもまだ違和感が強く、ある日、当然の如く客にネクタイをして客にいったところ、その格好を思い切りいやがられ、今後もネクタイをしてくるんだったらお前のところからはもう買わないと(半分冗談、半分本気で)いわれたからです。官公庁的なところも外国人、ましてやネクタイをしてる奴と親しく話してる奴は、何か私的取引しているのではないかと疑われることがあるそうでいやがられます。それ以後、商売やりずらいのでネクタイをするのは日本人とあう場合のみになりました。私とあう日本の商社マンはいつもスーツにネクタイです。私が「日本人」だからネクタイをしているのかもしれませんが、これを読んで多分、相手が中国人だけのときもネクタイをしてるんじゃないかと想像し笑ってしまいました。「汕頭」でもそうだったら、やっぱり変じゃないかなー?
北京駐在
2007/03/27 10:05
北京駐在さん、その通りで相手が中国人だけ、どころかどんな田舎の僻地に行くのでもネクタイしてました。
ホントに変でしたね。嫌がられました。
なぜだか、取引先の釣具部品屋は海外とか権威とかに弱い会社だったので、逆に海外に行くときはいつもネクタイ着用だ!飛行機会社はJALだけだ!みたいな会社でした。
その取引先命令とそれに追従した社名の為、律儀だった私はネクタイをしてサバイバルな出張をしていたもんです。
変ですね。
90年代は、まだ日本の企業や製品の力が強かったので、ネクタイして、日本人だぁ!とやっても通じる時代でした。
今とは大違いですね。
で、ネクタイスーツでブタ小屋で用を足してるシーンは、自分の視界だけでの記憶でも、やっぱり変です。
その時のスーツの記憶が、又、ミドリだったりして。
もう、バブルの残骸的カッコの中国輸出っすね。
中堅商社マン
2007/03/29 01:28
商社はなぜ、スーツとネクタイにしがみつくんでしょうか?
ちなみに現在はほとんどネクタイをしない生活になりました。
そのスタイルを押し通すと、誰も気にしなくなります。
なので、たまには、そういうカッコもしたくなるのが、商社マンの悲しいサガなのでしょうかね。
中堅商社マン
2007/03/29 01:29

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