中堅商社マンの海外出張報告(へなちょこ編)

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<<   作成日時 : 2009/09/22 17:47   >>

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これは俺の話。
90年代後半、俺はロスに駐在していた。
これはその時の話。

ある年、ラスベガスの展示会を俺は一人で出店していた。
駐在中は、日本のバッタ品や中国で生産した過剰在庫を処理することを目的に、ラスベガスのバッタ品の展示会が半年毎に開催されており、その展示会を一人で準備し、一人でロスからベガスまで展示サンプルを車で運送し、一人で出店し、商売して、それで一人で店じまいをして帰るような、散々な展示会をやらされていた。
というか、していた。
他の仕事もいっぱいあるのに、わざわざ、過剰在庫の処理だけのために、一週間も一人で展示会に出展していた。
その他にマイアミで開かれる、南米向けの展示会なんかも、一人で出店していた。
ほんとに中堅商社は駐在員に過酷な業務を強いる業界だ。

で、そういった展示会。
一人で出店しているので、トイレとか飯とかに困る。
困るので、隣のブースの出展者とか仲良くなって、ブースを離れる際に見張りをしてもらったりする。
その辺はアメリカの単純なフレンドリー精神は便利だ。
で、出店場所はラスベガスだったり、マイアミだったりのアメリカの都市だ。
そう、都市はアメリカだ。
が、出店しているのはほとんどが韓国人か韓国系か、中国人系だったりする。
なので、どの国にいるのか不明になる。
もちろん白人系もそれなりに出展しているが、大半をアジア系が占める。
単純軽工業製品なので、業界的にほとんどがモンゴリア系になる。
その中で、日本人で出店しているのは、ほとんど俺一人だ。
なんで日本人が出店するんだ、見たいなことを散々聞かれる。
聞かれる俺だって恥ずかしい。
過剰在庫処理の為ですとか言いにくい状況なので、
「親の遺言で」、とか、「昔の彼女を探してます」とか、適当な理由をデッチあげて周りのアジア系アメリカ人を納得させるしかない。
というか、納得しないだろうが、、、
客層はアジア系アメリカ人のバイヤーがやはり多いが、南米のバイヤーも多い。
で、英語がまともにできないバイヤーらしき冷やかしも多々来場する。
よって、俺が客先相手に話す言語は、英語・中国語・スペイン語になる。
そうだ、展示期間中の1週間に亘って、俺は全く日本語を話さない状態に落とし込められる。
もう、ほんとに日本語を全く話さない状態だ。
で、日中は北京語・英語・片言のスペイン語で商品の説明や商談しているので、頭の中がグチャグチャになる。
ホントにそうなる。
なので、中国人にグラシアスと感謝したり、アルゼンチン人にニーハオとか挨拶したりするようになる。
毎日真夜中までベガスのスロットしてるので、脳が溶解状態になっていると思われるので、ホントにそうなる。
展示会は1週間で済んでるので、なんとかその後に回復できるが、たぶん2週間以上やってると、白人相手に「リメンバーパールハーバー」とか「マリリンモンロー、脳タリン」とかいうようになるんじゃないかと思う。
もはや自分が何人か、よくわからない状態になってくる。
でも、コストヘッジから会社は同行者を認めてくれない。
ほんとに中堅商社は精神的な拷問を社員に強制する業界だ。

そんな日本語を一切話さない展示会で、たまに日本語の、それもきれいな江戸弁で話しかける顧客もいる。
やっと日本人かと思うと、実は、韓国人のおじいさんだったりする。
それが、俺より流調で、きれいな日本語だったりするので、更に俺は俺自身が何人かわからなくなってくる。
かと思うと、俺がただ一人の日本人出店者と知ってか、噂を聞いてわざわざブースを探して押しかけ、
いきなり北京語でこう話しかけてくるヤツもいる。
なにかと思うと、ヤツは昔の日本の千円札広げて見せて、俺に北京語で、こう言った。
「オマエは日本人か? 俺は伊藤博文の孫だ。」と。
だ、だから、なんだ? 
なぜいきなり俺にオマエの素性を告げるんだ?
それも北京語で。
顔は、、、顔は確かに似ている。ホントにそうなのかもしれない。
だからと言って、なんでベガスの場末の展示会で、それも日本人だからってわざわざ俺を訪ねてきて、
千年札広げて、オマエの生い立ちを話されなきゃいけねえんだ。
それも北京語で。
伊藤博文の孫だとなんかしなきゃいけねーのか?俺が。

かと思えば、
向かいのブースの中国人出店者は、やはりいきなり北京語で、俺の眼前にその本を掲げて、こう告げる。
「山本五十六をオマエ、どう思う?」と。
どうも思うわけないだろがぁ〜!
なんでベガスで一人で展示会出店して日本語不足症でヘトヘトになってる俺が、こんな砂漠で山本五十六のこと考えなきゃいけねーんだ。
アホか、オマエは?
山本五十六とか伊藤博文とかより、俺は早く展示会終了して、ロスに帰りたいの。
ところで、伊藤博文の孫は、伊藤が中国の妾に産ませた落とし胤だそうだ。
もちろん自称だ。
単に、顔が似てるので、周りの奴らに吹き込まれただけかもしれない。
旧千円札を常時もってるし。

ということで、その散々な展示会でも商売は一応成り立つ。
その中で、俺はハワイで店舗を展開しているバイヤーと知り合った。
で、その商談が発展して、一度ハワイに出張することとなった。
ハワイだ。ハワイ。
もう、ハワイと言ったらハワイだ。
出張でベガスに来てるのも、どんなに地獄でも一応ロス駐在の役得(?)とも言えるが、更にハワイだ。
楽園だ。常夏だ。
俺は非常に有頂天になった。
だって、会社の金でハワイだし。

で、ベガスの展示会終了後にロスに戻った俺は、1週間も過ぎた頃に憧れのハワイ出張に意気揚々として出かけた。

で、そのハワイ出張は、、、、、、、
― 地獄だった。
これまでの一人の出張で全く味わったことのない地獄を味わうことになるとは、出発前の常夏気分の俺は知らなかった。

ロスの空港から、UAでハワイ行きの便に乗り込んだ頃はまだ有頂天だ。
周りは観光客であふれている。老人夫婦が多いが、もう半分バカンス気分だ。
で、UAで5時間後、ワイキキの空港につき、レンタカーを借り、ビーチ近くのカメハメハの銅像のある公園の前のホテルにチェックインした。
到着は土曜日だ。
アメリカは、ホテル業界との結託からか、週末にホテルに泊まると飛行機代が安い。
アポは翌月曜日だ。
だから俺には、土日とハワイでの時間がたっぷりある。
もう、ほんとに会社の金でバカンスだ。
なので、浮かれた俺は、ラフなかっこに着替え、そのままワイキキの散歩に出た。
もちろん、下は持参した水着だ。いつでも泳げる。
もう、怖いもの無しにバカンス気分だ。
で、ワイキキの街を歩くと、、、、、、、日本人がいっぱいだった。
もう、ほんとに、ほとんどが日本人だ。
で、その日本人の観光客は、、、、、、みんな集団で楽しそうに歩いている。
一人で歩いてるのは、ほとんど俺一人だ。
ちょっと目立つ、というか、なんか俺だけ変だ。

俺は海外のいろいろな所に一人で行き、たとえばリオとかの観光地やビーチとかも一人で訪れたりしていたので、一人で歩くことも観光することにも、全然気にしたことはなかったし、慣れてもいた。
ベガスなども一人でいても、全然平気だ。

なのに、なのに、だ。
ハワイでは、ワイキキでは、、、、、、一人で出歩くことが異常につらくなった。
ほとんどが日本人で、日本語が飛び交い、で、すべて集団で歩いているので、逆に俺だけ異様に見える。
というか、そういう懸念に捕らわれる。
そんな、異常な孤独感に襲われるのは初めてだった。
が、そこはそれ、C調の中堅商社マンだ。
せっかく海パンもはいてるしと思って、気分を変えて、ビーチに降りた。
で、ビーチの砂浜に座って見ると、、、、、、、 更に孤独になった。
まわりは浮かれた日本人集団他だ。
ビーチで海パンで一人で座っているオッサンは、、、、、、俺一人だ。
悲しい。
あまりにも悲しい。
リオでも同じことやったが、そんな悲しい気分になることはなかったのに、、、、、
ワイキキビーチはオッサンの一人旅にはあまりにもキツイ場所だった。
一万円札広げて、「俺は福沢諭吉の義理の兄だ!」とか言ってみたくなる。
その辺のはしゃぐ日本人集団に、「あなた、山本晋也をどう思いますか?」とか、聞きたくなる。
愕然とした俺は、早々にビーチを引き上げた。
で、やることがないので、集団の中を歩かなくていいドライブに切り替えた。
でオアフ島を端から端まで運転してみたら、、、、2時間で終了した。
オアフ島は狭いので、ドライブもすぐ終わった。
ハワイ出張はつらい。

夜、近くの飯屋に入った。イタ飯かなんか、だ。
で、ウェイターに促されるままに、ふつうに着席した。
で、ふつうに注文した。
いつものことだ、俺には。
が、なんか雰囲気が変だ。
俺は周りを見た。
俺の周りは、全部日本人観光客だった。
その日本人観光客のほとんどが、俺を敵視の目で見ている。
なぜだ?なんでだ?と俺は思った。
俺は、日本人敵に回すようなことしたか?と思った。
で、気がついた。
日本人が、ふつうに英語で注文すると、ハワイに来ている日本人は敵視すること、を。
まわりで陰口や、あなたも注文ぐらいできるようにならないとねぇ、とかの声がする。
いや、だから、俺はアメリカ本土から来てるのとか説明しそうになる。
五千円札広げて、「新渡戸稲造の義理の兄の知り合いの弟です」とか言いそうになる。
敵視の視線に耐えながら夕飯を食った俺は、早々に目立たぬように飯屋を後にした。
ワイキキでは一人で飯も食えない。。。。。

翌日日曜日も同じような孤独感に襲われつつ過ごした。
もうすでにハワイからそ早々に脱出したい状態だ。
それでも、なんとか過ごし、で、夕食。
飯屋にも行けないなぁ、と思った俺は、しょうがないのでコンビニ飯で済ませることにした。
あまりにさびしい状態だ。
で、セブンイレブンを物色し、弁当コーナーにあるおにぎりに手を出そうとすると、横から同じおにぎりに手が伸びてきた。
俺は横を見た。
そのおにぎりに手を伸ばしたのは、俺と同じくらいのオッサンだった。
俺は思った。
このオッサンも同じ孤独感にさらされてるんだなぁ〜、と。
ワイキキのセブンイレブンのおにぎりコーナーの前には、孤独なオッサンの哀愁が吹き溜まっていた。

翌日、仕事を終えた俺は、やっとのことで地獄のハワイから抜け出して、ロスに帰った。

中堅商社マンは、ハワイ出張には勝てない。
ハワイには一人でいくもんじゃないって。ホントに。

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コメント(8件)

内 容 ニックネーム/日時
勝手ながら、私のブログからリンクを貼らさせていただきました。

http://plstclove.blogspot.com/

今後是非よろしくお願いいたします。
高田 亨
2010/05/22 11:32
いきなりですが、更新はまだでしょうか?

そして、ちょっと真面目な質問なのですが、商社とはやはり必要な存在だと思われますか?中堅商社マンさんのご意見を聞きたいと思います。
年功序列商社マン
2010/06/18 23:35
いきなり来ましたね、年功さん。
コメントありがとうございます。
で、更新ですが、、、頑張ります。うっ。
商社が必要かというと、あんまり要らないんじゃないでしょうか。ほんとは。
本来は各メーカーが商社の担ってる機能をもっていればいいのですが、そうすると実は余計なコストがかかったり、グローバル分業間のやりとりで調整機能が無くてギスギスしますので、そういったマゾ奴隷役としては価値があるのでしょうか。
ただ、儲けさせてくれるご主人様を何股もかけた上にすぐ乗り換えるところがすごいですが。まー、メーカーも顧客もすぐ商社乗り換えますが。マゾ奴隷が実は搾取してたりするのがバレたりしますと。
年功さんは、どうおもわれますか?
中堅商社マン
2010/06/20 19:25
すみません、コメントがかなり遅れてしまいました・・・

おっしゃる通り、グローバルでの調整機能や独自の調達ルートをもってたりするところが、ちょっとはましなところかなと思います。
でも日々の業務をやっていると、毎日メーカーと客の板挟みなので、やはりマゾ奴隷だと思ってます。たしかに実は搾取してる・・・というのはありますね。
こんなことを考えてるうちに、中国に駐在することになりまして、現在は広東省東莞市にきちゃいました。。。中国に来て早速わき毛ショックを受けました。女性もTシャツからわき毛があふれてます。文化の違いですね。
年功序列商社マン
2010/11/07 02:26
年功さん、コメントありがとうございます。
そうですか、東莞駐在ですか、ご苦労が想像できすぎて超同情モードに入っちゃいました。
ほこりっぽい東莞で、駐在早々にいきなり脇毛攻撃された日には、そりゃあ萎えますね。
でも、大丈夫っす。
一年もすると、ほこりっぽい脇毛がないと、萌えなくなりますから。
日本に帰って、ティーシャツ女性見て、何かものたりなさを感じるようになることでしょう。
私だけかもしれませんが。
お時間ありましたら、東莞でのご葛藤報告をお願いします。
なるべくアホな内容で、、、お願いいたします。
中堅商社マン
2010/11/08 06:59
初めまして。
これから、米国に行くことになる亡命商社マン☆です。
いやー楽しく拝見させて頂きました、こんな面白いブログは初めて!
自身も海外経験(出張ベースなので変態側?)はそれなりにあるほうなので
おっさんの入国審査を通過した後の生態、また変態っぷりの記憶が鮮明に蘇りました。

チャイナでのアテンド側だった時に、「サランラップ」程ではないですが参加者15名程度にゴムの配給をしたところ、ドアでの受け渡しでなく入室を求められおじさまとお姉さまが、いたしてるとこまで持って行かされた事がありました。
いやー、おじさまってなんで入国審査を通り過ぎいるとどうかなっちゃうんですかねー、未だに不思議。
だってチャイナはそれこそ宿泊してるフロアーまで公安っぽい人がいますからねー、下手にアテンドしてこっちまでしょっ引かれた日にゃ・・・
若気の至りで中国娘に恋したことがありましたが、ベットイン後に皆さん仰る「お脇のジャングル」に遭遇し、脇毛の至りとなりました。
お後が宜しいようで・・・
亡命商社マン☆
2011/04/22 12:31
亡命商社マンさん、コメントありがとうございます。返信が遅れてスイマセン。
これから米国すか、いいですねぇと言えばいいのかチト不明ですが、これからヤツらの正義の押し売り攻撃ギャグに遭遇するのかと思うとちょっとうらやましいっす。
亡命さんもアジアでイロイロなギャグ経験をされてるようなので、今度は色のちがった脇ジャングル経験の報告をお待ちします。
じかし、亡命さんもご同業柄なのかコメントでの報告には超笑いました。
恋する前にジャングルの有無の確認は鉄則すね。
またオモシロ報告ありましたら、コメントお願いいたします。
中堅商社マン
2011/05/05 22:26
中堅商社マン様
お返事ありがとうございます。
私の小ネタで宜しければコメントに投稿させていただきます。
すぐに人のふんどしで相撲を取ろうとする商社マンの悪いくせです(笑)
まあ、私もまだヒヨッコなんで、おじさま達の人の土俵に簡単に土足で上がってデカイ声で自己主張!、的な生態には到底及びませんがね。
亡命商社マン☆
2011/05/09 23:42

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