中堅商社マンの海外出張報告(へなちょこ編)

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zoom RSS 海外出張 下痢便報告 2−3

<<   作成日時 : 2006/09/11 00:28   >>

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とういことで、俺達3バカ一行は午後前に、その工場での商談を終えた。
その「威海で最大の釣具工場」だ。
社長が、権威を見せたいだけの「どうだ、すごいだろう」攻撃バリバリの、原価3元程度の工場昼飯を平らげさせられた工場だ。
もちろんその日の夜の会食の約束までさせられたのは言うまでも無い。

午後。
今度は別工場を訪問した。
訪問したのは威海1デカイその工場から独立した技術者が、威海市の貿易公司の出資を受けて新設した別工場だ。
その頃の中国は、海外へ製品を輸出できる会社は輸出ライセンスを国から支給される制度を取っていてすべての工場が輸出や輸入ができるわけではなかった。
当初は各省に輸出入の為の貿易公司が設立されており、各産業別に設置されたその公司を通さなければ製品の輸出ができなかった。
所謂、中国での商社みたいなものだ。貿易公司だ。
だから日本からの製品や原料の販売(中国側からは輸入)や製品購入(中国側からは輸出)に対しては、そういった省の貿易公司が貿易の仲立ちやその地区のメーカーの紹介をした。
たとえば「山東省重工業品進出口公司(仮名)」とかだ。(進出は輸出入の意味だ)
他の産業なら「畜産品進出口」とか「軽工業品進出口」とかになる。
なので、そういった貿易公司には仕事の業務担当として名刺に「通訳」という肩書きを書き込んだ、そのもの通訳がいる。
その「通訳」の人は、業務と肩書きが「通訳」なので、そのまま通訳だけしかしない。
当たり前だ。
でも、俺を含めた日本人からは当たり前じゃない。
なぜならその「通訳」は、他の仕事は一切しないからだ。
どんなに工場の生産や残務が大変でも、通訳意外の仕事は一切しない。
営業も購買も事務も気配りも一切しない。
ホントに仕事の通訳と飯時の党の役人の変な演説の通訳しかしない。
通訳として実際いなくてもいいくらいに役に立たない。
はっきり言って邪魔だ。
なぜなら、誤訳のお陰で余計混乱することが多いからだ。
通訳して、営業して、接待して、アテンドして、出張のツアコンして、書類仕事して、
金勘定して、代金回収して、肉体労働する中堅商社マンとはエライ違いだ。
どう聞いてもメチャクチャ変な日本語で、まったく意味が分からない説明されて、余計先方の意味が分からなくなるような日本語の通訳でも、それでも「通訳」様だ。
「俺がいなければこの日本人とコミュニケーション取れねーぞ!」みたいな感じだ。
もう、同じ中国人従業員に対して、お客様気取りで振舞われたりする。
全く内容の違う通訳な挙句に、「そんなことまで言ってないよ」ぐらいなことまで、同じ中国人に言ってたりする。
たぶん、日中の誤解の積み重ねの何パーセントかは、この「通訳様」に原因するんじゃないかと疑うほどだ。
そんな通訳様がブイブイ言わせられる中国は、まったく良いところだ。
俺の中国語も同じように酷いもんなので、他人のことは言えない。
が、でも俺の場合はそれ以外の苦行のような仕事が山のように付随しているので、やっぱり他人の事が言える。
自分で誤訳したことは自分でケツを拭かなきゃならないのが中堅商社マンだ。
中堅商社マンが、「私の仕事は通訳だけなんですよぉ〜、へへ。」とか、
「気に入らないと通訳しねーぞ」とか言ったら、、、、、
客と購買先メーカーに、取扱製品で散々殴られるのが「落ち」だ。

以前は省単位で設定された貿易公司のみだったが、この頃は輸出入権が地方に拡大され、それまでの省の貿易公司の地方部門が独立して各市の貿易公司になっていた。
この訪問先も、そういった市単位の貿易公司などが、地場の知り合いが釣具工場経営して儲かっているからその真似をしようと、そこの技術者をたぶらかして引き抜いて、独立させて作ったような工場だった。
「あいつが日本人だまして儲けてキャディラック買ったのなら、俺もあそこの誰々を引き抜いて(もしくは独立して)、同じように日本人だまして儲けてやる。」
というような短絡な考えになるらしく、で結局、同じ業種の同じ生産品を作る工場がひとつの町の中にドンドン増殖して数を増やしていく。
そして結局は需要以上の供給能力が発生し、値崩れを起こす。
なので、ある市の主産業が釣具生産工場ばっかりだとか、ある町の主産業が靴工場ばっかりだとかになる。
最終的には、日本人の技術者が、だまされて、苦労して、そんな田舎町のひとつの工場にやっと教え込んだ技術が、市とか省単位で流出していく。
中国側全体から見れば、合弁とかいう名の荒地の土地の貸与代だけで安く外国の技術を吸収でき、そして日本側にとっては何の独占的メリットも無くなるような、ただの技術流出になっていく。
まったく詐欺みたいなもんだ。どう考えても、片利共生共産主義だ。
で、日本側は、中国側からは一切感謝もされない。

さて、訪問したその新設工場では、社長だかのオッサンと副社長だかのオバちゃんが満面につくり笑顔を湛えて俺達3バカ一行を待っていた。
もう、「待ちに待ってました」という顔だ。
無理やり作った笑顔がピクピク引きつりながら、満面笑みの顔にはこう書いてある。
「あそこの工場に出すよりも多くのお金か技術を置いてってね」と。
あまりにあからさま、だ。
中国人は殊にこういう事には、正直だ。すぐに態度に出る。
で、その社長だかのオヤジ。
作った笑顔からニョキっと出た下の前歯は、ヤニで真っ黒だ。
歯の白いところが全くない。まるで黒い入れ歯だ。
その原因は葉巻みたいなめちゃくちゃニコチンの強い中国タバコの吸い過ぎだ。
もちろん鼻毛は、ボーボーだ。束で出てる。
で、その副社長だかのおばさん。
時折半袖の下から見えるわきの下が、わき毛ボーボーだ。剃ってない。
もうほんとに、わきの下「ジャングル黒ベー」状態だ。
「人間わき毛生えてて当たり前じゃ、何か不都合あるのか!」みたいな感じだ。
椅子に座った両足は、見事に全開だ。大股開き、だ。
開いた大股の間にスカートの前部が垂れ下がっている。
更に、顔のほっぺたあたりにあるホクロの頂点からは10cmくらいの長い一本毛が出てる。
ほっぺたのホクロから異様に伸びた毛が一本だけ、ちょっと縮れて飛び出している。
ようするに運を呼ぶおまじないの習慣でホクロの長い毛を切らないためだ。
「これを切ったら運がにげるんじゃ、文句あるか!」みたいな感じだ。
おばちゃんでも女性だ。なのに縮れた毛が顔の黒子から10cmも出ているのは、あまりに人間臭すぎて、わき毛とあいまって圧倒的だ。
で、この両人のその特徴は、はっきり言うと、普通だ。中国では。
大陸のその辺にいっぱい居る、きわめて普通の、中国人だ。
だから、俺にとっても普通だった。それは俺がその普通の中国人に慣れたためだが。
だが、同行の先輩上司はその普通の特徴に圧倒されている様子だ。
そりゃ、変だもん。圧倒されるわな。
股おっぴろげのわき毛ボーボーオバちゃんと、鼻毛の束出し黒入れ歯オヤジに満面作り笑顔された日にゃ。

そういった「普通」の中国人に山ほど会い、すでに慣れていたさすがの俺でも、やはり面談中のわき毛ボーボーには完敗だった。
なぜなら、中堅商社マンのその職業的性癖上、俺はわき毛フェチだからだ。(俺だけだが)
それも黒木香以来のフェチだ。
だだし、いくらわき毛フェチでも、やはり対象は日本人限定だ。
だから、やはりというか当然というか、その中国オバちゃんのボーボーには全く反応できなかった。
っていうか、できるわけ無い。はっきり言って、したくない。
100歩譲って、反応したりしたら、自分的に一生立ち直れない。
人民的わき毛フェチな中堅商社マンなんて、笑えないどころか、人民にも人格疑われる。
ただでさえ人格疑われるわき毛フェチなのに、だ。
それに人民にはわき毛は普通なので、たぶんわき毛フェチはいない。
中国人わき毛ボーボーオバちゃんに反応するぐらいなら、鏡に映した自分のわき毛で反応したほうが、まだましだ。(想像したくないが。。。。)
たとえば何かの気の迷いで、さらにどうしようもなくなって、、、、
その中国ボーボーわき毛オバちゃんを「おかず」にしたりしたら、末代までも立ち直れそうにない。
やっぱりわき毛フェチはインターナショナルにはなれない。
というか、海外まで趣味の範囲を広げたくない。
特に中国までには、だ。
日本限定フェチだけで、やっぱり結構だ。
それほど、黒木香のわき毛は別格だ。小鳩美愛でもいいが。(わけわからん。。。。。)

とかなんとか、その鼻毛束オヤジとわき毛ボーボーオバちゃんを前にして、一人逡巡しているうちにその工場との商談は終わった。
同行の他の2名がそのオヤジとオバちゃんを前にして何を妄想していたかは、俺は知らない。
たぶん、オヤジの束鼻毛で反応してたのかもしれない。
ストレスの多い中堅商社マンはどんなフェチになるか分かったもんじゃない。

で、一度威海衛ホテルに帰った俺達3バカは、休憩後に威海衛ホテルのレストランで催された夜の会食に望んだ。
会食相手は午前中に訪問した威海で一番デカイ釣具工場の権威見せつけオヤジとその息子軍団だ。
こことの会食は、外せない。
しょうがないとあきらめてた俺達3バカ一行は、もちろん白酒乾杯合戦を想定していた。
が、その会食になって思い出したことだが、ここの釣具工場の社長のオヤジは山東省では珍しく、酒が飲めない奴だった。
威海じゃ珍しい部類だが、そんな奴も広い中国だ、たまにはいる。
もちろんパチスロ息子は酒が飲めるが、オヤジの社長が酒が飲めない手前遠慮している。
で、結局乾杯はビールでということになった。
もちろんビールは冷えていない。ので、不味い。
そこの社長は自分が酒を飲めず、白酒接待できないことに少々後ろめたいのか、料理の方に金を掛けている。
で、口の中に入れて噛むと苦い汁が口中にあふれる虫のサナギの揚げ物だとか、威海名産のシャコだとか、大学芋みたいなネバネバの芋だとか、こっちにとっては食っても旨くないような名産料理で攻めてくる。
食事開始後しばらくして、そういった郷土料理オンパレードの半ばで、突然ワサビと酢醤油の皿が全員に並べられた。
不思議に思った俺はなんの料理が出てくるのか聞いたところ、その社長が権威前出しで、
「日本と同じで、威海にも刺身がある」、と紹介した。
ちょっと待て待て。刺身?ここはどこ?中国?中国で刺身?豚の刺身?
それとも犬とかの刺身?それとも駱駝とか?それは勘弁してよ〜。
って俺は思った。
で、青島近辺では刺身を食うと以前に聞いていたことを思い出した。
それって威海の沖にある黄海から取れる魚じゃねーか?
あんな真っ黄色の泥でかつ中国と韓国と北朝鮮沿岸からの有害物質を垂れ流している海で取れる魚の刺身か?
そして、俺達3バカは顔を見合わせて、非常に暗雲な表情を交わした。
 ― 大丈夫か? ― と。
パチスロ息子は、日本の刺身よりおいしいですよ、とか変な日本語で自慢してる。
あほか、この息子!旨い・旨く無いの問題じゃねぇー!
たとえ旨くても、威海沿岸から一本溝トイレで気張ってた小僧のウンコを毎日垂れ流して、それ食って旨くなった刺身なんか食いたくねー。
その刺身の元になった餌には、わき毛ボーボーオバちゃんのウンコも含まれてるかもしれねーじゃねーか。
鼻毛束とわき毛ボーボー見せられて、それ食って大きく旨くなった刺身でぇーす、みたいであまりにも生生しいいじゃねーか。
品性の問題だ、品性の。
旨い・旨くねーの問題じゃねぇ。
とは思いながらも、そこはそれ、中堅商社マン3バカ一行だ。
3人揃って、こんなこと言ってしまうのが、中堅商社マンだ。
「いやぁ~、そうなんですか、中国の刺身ですか、中国は食べ物何でもあるしおいしいから、刺身も別格でしょうね。いやぁ~中国の刺身食えるなんて、光栄だなぁ~」、とかだ。
あまりにも悲しいじゃねーか。
そんなこと言っているうちに、俺達3バカの座る丸テーブルに「それ」が運ばれてきた。
その刺身が、だ。
で、3バカは一斉にその皿を見た。
見たその皿の上の刺身は、、、、、、
 ― 「貝」 ― だった。
赤貝だ。皿いっぱい生の赤貝の身の山だ。貝に見えないくらい山盛りだ。
貝?刺身?山盛り?ここはどこ?中国?中国で「赤貝」生で山盛り?
もう3バカは言葉が出ない。
キケンを告げる警鐘が3バカの頭上を高速度で旋回している。
3バカは「赤貝」を凝視したまま完全に固定している。凝固に近い。
裏ビデオで、別の「赤貝」をはじめて見た中学生みたいにフリーズしている。
でも、赤貝は山盛りだ。どうしようも無い。
社長は満面笑みで、さあ食え!どうだ威海の刺身はすごいだろといった態度満々だ。
さすがに息子は日本人が躊躇しているのを感じたのか、変な日本語でこう説明する。
「ワサビは解毒しますから、いっぱい付ければ大丈夫でいらっしゃいますよ。」
「解毒しますから」じゃねぇー!
「いらしゃいますよ」じゃねー!
お前ら、ワサビ多量につけなきゃ解毒できねーよんなもん客に食わすな!
それも山盛りだぞ、山盛り。
ぜったい「大丈夫でいらしゃら」ねー!!!!
でも、いくら危険を告げる警鐘が円卓の周囲を高速旋回していても、そこは中堅商社マンだ。顧客が食えと言う物は断れない。ここは中国だ、威海だ。
ということが、その場で、即座にかつ暗黙の内に開かれた3バカ間の緊急ミーティングで決定された。
ほんの数秒の暗黙ミーティングだ。
で、順番と方法も決定された。暗黙の内に、だ。
まず先輩上司が1粒、普段付けない様な多量のワサビを付けて、おそるおそる口に入れた。
で、一言。
「おー、こりゃ行けるは。○○(俺のこと)、旨いからたべなよ。」
このおっさん俺に振りやがって、と思いながら、俺もやはり多量のワサビを付けて1粒口に放り込んだ。
全然旨くない。というかワサビの味で味なんかわかんない。
でも、俺は天性の中堅商社マンだ。だからワサビの涙目でこう発言。
「いやぁ~うまいですねぇー、中国でこんなうまい貝の刺身食えると思わなかったなぁ~、うまいのでもう一個頂きます。」と、もう満面笑顔でもう一粒をさも旨そうに食べながら、
「いや〜うまいなぁ〜。○○君(後輩のこと)すごくおいしいし、中国で貝の刺身食えるなんて貴重な体験だから、いっぱい食べなさい。なんなら全部食べなさい。いや、せっかくだから、全部食え!」だ。
そうだ、暗黙緊急ミーティングの結論は、「先輩から順に危険度を下げろ」だ。
中堅商社特有のリスクヘッジだ。
後輩を犠牲にしても先輩が生き残るのは必定だ。
よって、3バカ一行の一番後輩は、先輩2人のキケン回避の為だけに、多量にかつ無理やりにその赤貝を摂取させられた。
結局彼の摂取量は、10粒以上となった。
その後は白酒も無く、さめたビールで乾杯を数度繰り返し、最初の会食はお開きとなった。

ホストの社長が去って、その後。
親の手前おとなしく振舞っていたパチスロ息子が、いきなり豹変し、2次会に行くと騒ぎだした。
俺達3バカは帰ってホントの解毒剤でも飲みたいくらいな気分でいるのに、良い所があるとしつこく誘う。
社長の息子だ。将来は2代目社長だ。発展する中国の、威海の釣具工場2代目社長だ。
やはりおろそかにできない。
よって、3バカ一行は、しぶしぶ付き合うことにした。
連れて行かれた場所は、威海の社長息子連中や金持ちが集う洋風ラウンジバーだ。
威海では、似つかわしくない洒落たラウンジバーだ。
「知ってる限りには、精一杯洋風にしてみました」、って感じの中国風洋風バーだ。
よって、結局は、野暮ったい。
店の雰囲気が、どこか微妙にずれてる。
が、息子はなぜかハイテンションだ。
そのバーにある洋酒を飲もうと大はしゃぎだ。
威海にも洒落た洋酒はいくらでもある、どうだ!みたいな感じだ。
で、洋酒をボトルで注文する。
で、結局出てきたボトルは、、、、、、「ジョニ赤」だった。
なんとも言えない俺達は、おとなしくその「ジョニ赤」を飲んだ。
まわりには人民とはちょっとだけ違う、洒落た感じの若い客やカップルがいる。
結局は、その息子の友人だ。紹介された。
「彼は最近までドイツに留学してました」とか「彼はアメリカ留学帰りです」とか、だ。
「僕は日本だったですが、また次は西洋のどっかに行きますよ。」みたいな感じだ。
そんなに留学がエライのか?自慢できることか?
威海からドイツなんて留学して何やるんだ?偽ベンツの作り方でも学ぶのか?
アメリカ留学って、留学しただけなら五万といるぞ。日本人でも韓国人でもタイ人でも。
悪かったな、どうせ俺は中国留学だよ、それも留学という名のサバイバルだよ。
みんなお前らのお陰でサバイバルじゃねーか。
思い出したくもない悲惨な経験だぞ、威張れるようなことなんて何もないぞ!
とか思いながら、態度に出せない中堅商社マンはいつもの通りだ。
3人口を揃えての発言は、「いやぁ〜、みなさんすごいですねぇ〜」、だ。

そんなこんなで少々酔ってきた3バカ+バカ息子の4人は、酒の速度も上がって来た。
息子が一番酔っている。
挙句に、酔ってはしゃいでるその息子は、ついにこう言い出した。
「威海にも日本酒があります。日本酒飲みましょう。」
俺は嫌な予感がした。
なぜなら、その洋風中国バーの奥のカウンターの後ろには、各国の酒を並べた戸棚がある。
その戸棚に、「月桂冠」の瓶が飾ってあるのを見ていたからだ。
ここは威海だ、中国だ。日本酒飲む人民なんてそうそういない。
高いし、ヤツラには不味いからだ。
で、外人用に飾った「月桂冠」は、たぶん、このバーの開店当初からあるはずだ。
だから、3年以上、戸棚においてある酒のはずだ。
たぶん他の省から流れてきた「月桂冠」だ。通算の中国滞在は10年以上かもしれない。
そんな古い酒は危ない。
で、やはりもって来た「月桂冠」の瓶には、思いっきりホコリがかぶっていた。
3バカ一行の頭上に、またも危険を告げる警鐘が旋回する。
旋回するが、すでに酔っているので、警鐘は聞こえない。
ただし、いくら酔っていても、夕食時の暗黙ミーティングの決定は生きている。
なので、勧められるままに、先輩上司が一杯。俺が2杯の乾杯だ。
で、後輩に向かって。2人揃って一言。
「○○君、威海で日本酒が飲めるなんて、めったにできる経験じゃないから、なんなら君が全部飲みなさい。いや、威海体験に全部飲め!」だった。
そうやって、後輩と息子が一気に酒あおった姿を最後に、威海の夜は更けていった。

で、翌日。
見事に当たった。
3人ともに大当たりだった。

朝。前日の深酒が聞いたのか、突然目が覚めたらすでに朝飯の集合時間を過ぎている。
1時間近く過ぎている。
「しまった寝過ごした、遅刻は最悪だ。」と目が覚めてあせった俺は、慌てて飛び起きた。
ベッドに横たわっていた状態から飛び起きた俺は、体を伸ばした。
伸ばした途端に、胃のあたりを激痛が襲った。
ナイフでメッタ刺しにされたような激痛だ。胃のところどころに激痛が走る。
あまりの激痛に胃を押さえ、丸まってベッドに再度横たわった。
丸まってないと、ナイフのような激痛が波状で襲ってくる。
丸まっても痛い。
激痛にのたうちまわりながら10分以上。
これは今日は無理だ、客先に訪問できないと考えた俺は、何とかベッド脇の電話を取り、苦痛に耐えながら先輩上司の部屋へ電話をした。
ぜーぜー言いながら、、、、
俺:「すいません。腹が異常に痛くて、完全に当たりました。今日は無理みたぃ。。。。」
終わらないうちに先輩がこう応えた。
「お前もか、俺もだ。腹が異常に痛い。朝方からずっと便所の中だ。」と。
「貝だな、こりゃ。」と。
俺:「あまりに痛くて、この状態じゃ今日は無理です。○○(後輩のこと)からは連絡ありましたか?」
先輩:「無い。あいつが一番多く貝食ってたけど、大丈夫か?」
俺に電話しろってのか?俺は超激痛だぞ。死にそうだぞ。
俺:「わかりました、ウンコ終わってから電話します。トバ口までもう来てるんで。。。。」
やっとのことで俺は電話を切り、そして、、、、、トイレに駆け込んだ。
それから30分、トイレから出れない。
拭くたびに、また便意が襲う。
怒涛の波状攻撃だ。後輩に電話どころじゃない。
激痛と息苦しさと波状攻撃で、瀕死状態だ。座ったまま、そのまま死にそうだ。
下痢便の「考える人」状態だ。そのまま動けない。
波状攻撃の苦痛と格闘する俺を無視して電話が鳴った。便所にも電話の子機はある。
「勘弁してくれよ、痛くて出れないよ。」と独白しながら、なんとか電話に出た。
苦しい声でやっとのことでなんとか中国語で言った「ぜーぜー、何だ!」
それは、後輩からの電話だった。
受話器の向こうから後輩からの瀕死の声で、、、、、
「○○さん、すいません。もう紙が無いので、紙分けてください。」だった。
未明から苦闘していたようだった。
激痛な俺:「俺も無い。もうほとんどない。自分で取りに行け」
瀕死な後輩:「トイレから出られません。死にそうです。」
ほとんど死に掛けても後輩の面倒見の良い俺は、その「考える人」のままのカッコからフロントに電話をした。
苦痛にさいなまれながらも、やっとのことで、こう言った。
「下痢で紙が無いから、紙を持ってこい、それも2部屋にだ。」、と。
でも、それは中国のことだ、結局服務員が紙をもって来たのは1時間後だった。
その間、俺は苦痛に苛まれながら、フロントに「紙を持って来い」電話を4回以上もした。
怪訝そうな服務員が持って来た紙が来て、やっとのことですべてを出しきった俺は、
それ以上は電話もせずに昼前まで激痛と戦いながらベットで寝た。
もちろん服務員のもってきた紙は中国特有のピンクのヨレヨレのトイレットペーパーだ。
表面がガサガサで、拭くと痛い。
腫れ上がった出口には、まさに「傷口に塩、肛門に中国紙」状態だ。

昼、少々回復した俺は起きて先輩に電話をし、確認し、その日のアポイントをキャンセルした。
訪問先に事情を告げての上で、だ。
後輩にも電話をしたが、「ダメです。動けません。」とのことだったでの、まだ続いていた痛みに耐えながら、各訪問先に電話をした。

で、その昼のうちに、威海の釣具業界の間を、俺達3バカの下痢事件が駆け抜けた。
競合関係を含めて、業界全体が知ってる状態だ。
俺達は静かに寝かせて欲しい。欲しいが、そこは中国だ、親切の押し売り風土だ。
親切心見せておかないと、技術も金も来ない。
で、午後。
俺は腹部激痛のまま、引っ切り無しな、「大丈夫か?飯食ったか?」の電話の対応に追われた。
痛いのに飯なんか食えるわけないじゃねーか。

夕刻、その日訪問する予定だった釣具部品メーカーの社長が、婉曲に断る俺を無視して、押し掛け同然で俺の部屋に尋ねてきた。
持参した見舞いは大きな袋に多量に入った、、、、、、「ピーナッツ」だった。
これは腹に良いから食え、と。
俺の部屋はピーナッツの臭いで充満した。
俺は思った。
なんで下痢にピーナッツなんだ?
それも適当な包装に適当な印刷した、その辺で売ってるピーナッツじゃねーか。
お前、その辺にある誰かからの貰い物を、テキトウに見繕って持って来ただろう。
下痢にピーナッツがいいなんて聞いたことねぇー。それもなんでそんなに多量になんだ?
そこまでテキトウな説明つけるか、普通。
いくら親切の押し売りでも、下痢便で激痛に苦しむ俺の部屋に多量のピーナッツ持ち込んで、その臭いを充満させられた日にゃ、それはもう拷問に近いだろうが、と。
で、その異常な好意の押し付けを何とか断った俺はこう説明した。
「腹はまだ痛いがなんとか大丈夫になった。休めせて欲しい」と。
その俺に、その部品工場の社長と手下は、心配そうな顔でこう切り替えした。
「そうか、まだ腹が痛むか。安静にするといい。それじゃあ今から飯食いに行こう。さぁ行こう。もう飯屋と酒は準備してある。」、だ。
ちょっと待て待て、お前等はぁ〜!
いくらもう飯屋予約したからって、
前日の訪問先がお前らの競合だからって、
その競合先以上の飯の接待しとかなきゃならないからって、
下痢便激痛の3バカ一行に、
下痢便激痛の当日に、
断る俺の部屋に無理やり押し掛けて、
ピーナッツの臭い充満させた挙句に、
「じゃあ、飯行こう」って言うか、普通?
「今日は飯抜いて休んだほうがいい」だろ、普通はぁ。
なんだ、その前の「じゃあ安静にするといい」は?単なる前フリ挨拶か?
そんなに接待飯が優先か?人の状況考えねーのか?
そのあまりのあからさまの接待優先に、さすがの俺も愕然とした。
接待飯を食わせるためには、当のゲストが下痢便でも激痛でも、ひいては半死状態でもかまわないことに。。。。。
まったく、中国中心で自分の都合優先だ。これを中華思想と言う。

翌日。
なんとか下痢便が治まった3バカ3人は、悪夢の威海から離れるべく、ホテルで手配したバンのタクシーに乗って青島に向かった。
バンにしたのは訳が有る。
バンならば、青島までの5時間、下痢便の3人とも横になって寝れるからだ。
そして3バカ3人とも各自が、ホテルの部屋から盗んできた物を大事そうに抱えて乗り込んだ。
そうだ、1人2本のピンクのトイレットペーパーを、だ。

結局赤貝を食った量の順番に、当たりのひどさが出た。
後輩が一番重症だった。俺が次ぎ。先輩は一番先に回復した。
現場での、暗黙のリスクヘッジは見事に機能した。
俺はバンの椅子に横たわりながら、釣具部品工場の社長のオヤジが言ったことを思い出していた。
威海で赤貝の刺身を食うときは、威海の人間でも白酒を多量に飲む、と。
白酒の強いアルコールが、それこそ消毒の代わりになると。。。。。
白酒無し、さめたビールの乾杯、そして古くなった月桂冠。
それらが、3バカの胃の中で赤貝の毒を増殖したとしか思えない。
中堅商社マン一行は、白酒と赤貝と威海にもかなわない。

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コメント(13件)

内 容 ニックネーム/日時
初めまして中堅商社マンさん!こんなにもったいぶってー!!とじらしておいて、ついに!!爆笑の連続技ですね!!!
今まで中国がどんな所か、商社マンとはどんなものか知らなかったけど、このブログを見て今まで知らなかった事たくさん知れたような気がします。
それにしても商社マンさんの頭の回転の速さには驚きの連続です。ほんの1秒の間に「赤貝⇒有害物質を垂れ流した海で取れる魚の刺身⇒気張った小僧⇒わき毛オバさん⇒鼻毛束・・・」を連想し、更に自分でおちまで考えて。あたって辛い所申し訳ないけどとっても楽しそうですね(笑)
たまにはガハガハ笑いたい時にピッタリのブログです。他の話も楽しみにしています。楽しいブログありがとうございました。
まだまだ新米OL
2006/09/11 21:59
新米OLさん、コメントありがとうございます。
爆笑して頂いたのなら、中堅商社マンもその後輩も本望です。
当たった当日は、それは本当に死ぬかと思いました。
実際は笑えない状況ですが、後で思い返すと自分でも笑えます。
ネタは日々増える状態ですので、がんばって新作作ります。
気長に待っていただけると、うれしいです。
またコメントお願いいたします。
中堅商社マン
2006/09/11 23:45
人民ネタ大好きです。こうも異なるんだと驚きですよね。こういう話が日本と全く異なる国&人種だったら、そうだろうな〜と思うんですけどこんな近くで人種は近いですからね。。。日本は海で離れていて良かった。

毛ネタで前に「日本男性って髭剃り痕とかあって毛が濃いわよね〜」っていうのを人民が話していました。確かに人民より毛は濃いかもだけど、鼻から毛もじゃは日本じゃ多くねー。

女性の場合も、毛なんて、股開きなんて〜ぼつもんだい!以前デパートに行った時。。。おばちゃんデパガ人民がスカートに何か溢したのか。パンツ丸見えもかまわず、スカート脱いで→洗って→ハンドドライヤーで乾かしてました。トイレにドアが無い国だもんね。。。見た目が高級そうで、高級ブランドしか売っていないデパートでも、売り子が座ってカップラーメン食べて昼ねしてたって。。。高級な服にラーメンの匂いがついてたって。。。ビルのオーナーがトイレなんかにかける金はねー!状態で蚊取り線香がトイレ置いてあったって。。。高層デパート外壁のうすーい大理石が剥がれた下に、赤レンガが見えてたって。。。全部普通だよね。。。
海外好き
2006/09/13 00:08
貝ですか。。。それは100%あたりますね。私は酔っ払い蟹で地獄を見ました。その話を人民女子にに恥ずかいので小さい声で照れながらすると「お腹壊す(本当はこんな歪曲な言い方じゃないです)のって普通の生理現象よ〜!」みたいに皆さんご飯を食べながらぎゃはぎゃはと大声でお腹を壊した経験を話していました。結構清潔に見える、綺麗な女の子達でもこうなんですからね。。。海を越えると全く異なる外国っす。

報告書3楽しみにしてます!
海外好き
2006/09/13 00:09
海外好きさん、笑いました。うなずけて。
海外好きさんも随分中国でご苦労というか変な現場に出くわしてますね。
面白いっす。
ホントに人民のやることは、「ハリボテ」ですよね。
それが普通だと思っていて、それでも洗練されているって思ってるところが、すごいっすが。
高級スーツ着ても、鼻毛束じゃ、やっぱりハリボテか田舎大尽っす。
カニ当たりもきつそうっすね。ご苦労お察しします。
ピンクトイレットペーパー(ほとんどジャバラ)のお世話になったかと思うと、同志ですね。
海を越えると、焼肉国家あたりから、ほんと、完全に異なる外国ですね。
海越え後キムチ臭くなったあたりからすぐに、洗練度が低下していきます。

報告3もがんばってUPしてみます。

中堅商社マン
2006/09/13 11:17
はじめまして。大変、おもしろく読まして頂きました。中堅商社マンさんと(仕事は違いますが)同じような生活、経験を今このときもライブでしています。山東省は中国の中でもしょうもないところの一つ(つまり他にもある)で、食事の前にワイングラスで前菜もでないうちから白酒3杯も乾杯させられます。食事もうまいものがなく農民菜(一体今何を食べているのか良く分からない)に連れて行かれ昼間っから湯のみ茶碗で白酒を飲まされます。
北京駐在
2007/03/25 16:03
北京駐在さん、コメントありがとうございます。
いやぁ〜ライブで中国の不条理生活を体験できてるなんて、うらやましいですなぁ〜(全然うらやましうそうじゃない)。
山東省は、やはりまだまだそんなところですか。
酒飲ませることが仕事だぁ!みたいなところが一番イヤですね、あそこは。
その農民菜は、超興味ありますね。
見てみたいっっす。(決して食べては見たくない)
たぶんその辺の農家で作った農薬バリバリ漬けのチンゲン菜とか空芯菜とかを、同じく農薬バリバリ漬けのニンニクとかと炒めてそうですね。
生産農家も料理する調理人も、「決して自分では食べない」、ような菜じゃないでしょうか。
その農家も調理人も自分の食うものは、よそに買いに行ってます。
北京駐在さん、今後もライブでの人民不条理体験報告をお願いします。
中堅商社マン
2007/03/25 18:27
早速のコメント有難うございます。私は商社ではなくメーカーの人間なのですが、いつも横からみている商社マンさんたちの気持ちがよく分かりました。とはいえ私も社内商社員みたいなものでNY-東京-台北-東京-北京-深セン-北京と中堅商社マンさん(程ハードではないですが)似たような会社生活を続けています。自分の体験、人からきいたことで山ほど面白いネタはありますが、中堅商社マンさんの様な文才はないので、時々参考事項程度にコメントして紹介させてもらいます。
北京駐在
2007/03/25 20:27
北京駐在さん、コメント返信ありがとうございます。
早速、色々な面白話を書いていただいてるようで、ありがとうございます。
いやぁ〜、同じ苦労をON TIMEで経験されている方と同じ傷をなめあえるとは、うれしいっす。
しかし、北京駐在さんもすごくハードですよ。
移動距離が長いようななので、ご苦労お察し申し上げます。
時差もきつそうですね。
早速コメントで頂いた体験内容読みましたが、面白いっす。
ドンドン報告お願いいたします。
中堅商社マン
2007/03/26 19:21
失礼しました。これは出張の移動ではなく勤務地の移動です。
北京駐在
2007/03/26 19:35
おー、それは失礼しました。
って、北京‐シンセン‐北京の勤務地移動って、それはそれはもっと大変じゃないっすか。
それこそ、ご苦労お察し申し上げ下げしたくなります。
中堅商社マン
2007/03/26 19:57
中国人を馬鹿にするな!
日本人の優越感はやめろ!
通訳者
2011/10/16 17:03
通訳者さん、そのとうりですね。
日本人が他のアジアにもっている得体の知れない優越感をアホらしいとして、書いてますけど。
また、日本のおっさんがアジアでやってる優越感丸出しのスケベ根性をちょっとバカにした表現してますけど。
中国のひとを特定して悪く書いても仕方ないので、文化的な感じ方の相違からくる相互不理解を表現してますけどね。
短絡的にバカにされた、日本人は優越だと書いた覚えもないですが。
逆に中国のひとは、文化的相違から日本人に優越感を全くもってないんですか?
私は中国のひとから、日本人だということで、いっぱいバカにされた経験がありますよ。
中堅商社マン
2011/10/16 17:25

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海外出張 下痢便報告 2−3 中堅商社マンの海外出張報告(へなちょこ編)/BIGLOBEウェブリブログ
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